生前贈与

生前贈与

相続税の支払いは、富裕層にとって頭を悩ませている問題の一つです。世界的に見ても、日本は相続財産にかかる税率が高い方に入っています。超富裕層の中には、相続税の税率が低い国に移住する人も現れています。日本では、2015年1月に制度改正が行われ、生前贈与を促進する仕組みが導入されました。

日本にある1,600兆円の金融資産のうち、大半はシニア層が保有していると言われています。年金で生活を行っている高齢者の多くは、金融資産を預貯金のまま寝かしている状態で、あまり有効活用されていないのが現状です。2015年1月の制度改正によって、政府はシニア層から若い世代への財産移転を促す方針を打ち出し、相続時に財産移転を行うよりも、生きている間に贈与を行う方がメリットがある仕組みを導入しました。

生前贈与の代表的な方法として知られているのが、一般贈与と相続時 精算課税制度の二つです。一般贈与とは、毎年贈与を行っていく方法のことで、贈与を受ける一人につき年間110万円の基礎控除が設けられています。また、贈与を受け取る側の制限がないことから、子どもや孫でなくても財産を受け取ることが可能になっています。今回は、もう一つの生前贈与方法である相続時 精算課税制度について、ご説明します

相続時 精算課税制度とは?

相続時 精算課税制度は、2015年1月から制度が変更され、大きく対象が拡大されました。以前は、贈与を受ける側は20歳以上の子どもであるという制限がありました。しかし、税制改革によって、この対象が20歳以上の子どもだけではなく、孫も含まれることになったのです。

ただし、年齢は、贈与を行う年の1月1日時点のものです。精算課税制度を利用して、20歳の孫に贈与しようとしても、その年の1月1日時点で19歳だった場合は、来年まで待つ必要があります。なお、贈与を受ける人の人数制限はないため、子どもや孫が多い人でも問題なく手続きが可能です。

また、依然は相続時 精算課税制度を使い贈与を行う側、つまり生きている間に財産を譲り渡す側は65歳以上である必要がありました。2015年1月の税制改革によって、この年齢基準が60歳以上まで引き下げられ、対象となる人が拡大しました。

相続時 精算課税制度には、2,500万円の特例控除が設けられています。言い換えると、この制度を利用することによって、2,500万年までは税金が課されることなく、子どもや孫に対して贈与を行うことができるということです。なお、一度相続時 精算課税制度を選択した場合、それ以降の変更はできないことになっています

ただし、この制度を利用する場合には、税務署への申告が必要になります。また、2,500万円を超える贈与が発生する場合には、一律に20パーセントの贈与税が発生し、これを納税しなければなりません。ここで納められた贈与税額は、相続が発生した際の相続税額から差し引かれることになっています。

つまり、精算されるということになります